今日は義父の一周忌で、
妻の故郷である愛媛県に来ています。

この一年間で、
義父が亡くなり、
母が亡くなりました。
葬儀や法事で何十年ぶりに会う人、
初めて会う人も多くいました。

そして昨年の夏は
亡き父の故郷であるハワイ島に行き
130名の親族が集まりました。

この一年間、今までになく
それぞれの親族と会う機会が
たびたびあります。

それで血の繋がった親族の関係というものを
深く考えさせられています。

「遠くの親戚より近くの他人」
という言葉があります。

親族であっても遠く離れて暮らしているうちに
行き来も少なくなって、情が通わなくなる。
いざという時には頼りになるのは
身近な他人のほうだと言う言葉です。

たしかにその通りです。

でも親族には親族の良さがあります。

久しぶりにでも親族に会うと、
会った瞬間、懐かしさと共に
親しさがこみ上げてきて
壁がないというか、
安心感に包まれます。

祖父母、親、兄弟、
おじさん、おばさん、おい、めい、
その存在は本当にありがたいものです。

そして小学校や中学校、
幼い頃を一緒に過ごした同級生も
そうです。

特別な情があります。

生まれてから大人になるまで
いろんな愛情を受けて
自分の情感を育んできた、
それが親族であり、故郷ですね。

普段はあまり意識していないかもしれませんが
そこにはそれぞれの地域性があり、
またそれぞれの歴史や伝統もあり、
意外と私達の人間形成に
大きな影響を与えているのではないでしょうか。

先回は私の人生の大きな転換点となった
22才のスピリチュアル体験を紹介しました。

じつはその2年前、
人生観を揺さぶられるような
私の原体験というべきできごとがありました。

その時のことを書いてみたいと思います。

 私の父はハワイの日系二世です。
幼少の頃日本の親戚に養子に来て、
ハワイの親兄弟と別れて育ちました。

そして私が大学生、20才のとき、
父と一緒に祖母の米寿(88歳)の祝いということで、
ハワイに招待されました。

おじさん、おばさんたちは、
時々日本へ父を訪ねて来られていましたが、
私が70名くらいの親族一同に会ったのは
その時が初めてでした。

その時に受けた印象は強烈なものがあって、
私の人生観を根底から変えるようなものでした。

ちなみに、
日系二世である叔父・叔母とは
日本語で話ができます。
三世のいとこたちは、完全に英語です。
中学・高校・大学と英語を8年も学んだ割には
思うように英語が使えず
もどかしい思いをしました。

まず衝撃を受けたこと。

日本では、
「あなたはどこの大学に行ってるの?」
「あなたはどこに勤めているの?」
「どういう団体に所属しているの?」と聞かれ、
それに答えれば「ああ、そう・・・」と、
それでもって自分がどんな人か
わかったような顔をされる
そんな環境でした。

ところが、向こうで聞かれることと言えば、
「大学生なら、
あなたはいま何を学んでいるのか?
将来何を目指しているのか?
スポーツは何かするのか?」
というようなことばかりです。

思考回路が違うのでしょう、
それをうまく表現できな私は、
よくわからない変な男だなと思われたようです。

祖母の米寿のお祝いは、
三世であるいとこたちがそれぞれの特技を生かして、
絵をプレゼントしたり、歌を歌ったり、
心のこもった手作りのパーティーでした。
私は苦しまぎれに、
下手なギターを祖母に弾いてみせたら、
それがとても喜ばれて、
はじめて皆から「IKUOとはこんな男か」と
少しだけわかってもらえたようでした。 

また、いとこのなかには、
車の整備工場をやってる者、
家業をついで花の栽培をしている者、
教会に献身しシスターになっている者
さまざまでした。
同じ年の男の子は軍隊に入りドイツに行っていて、
ひとつ下の女の子は大学で建築家を目指していました。

 本当にそれぞれの個性や生き方を認め合い、
伸び伸びと生きてる姿を肌身で感じました。

アメリカとはこんな国かとショックを受けたものです。

そして更に驚いたことは、
ただの個人主義ではなく、親族が皆、
一世のおばあさんを心から慕いながら、
その苦労と深い愛情に感謝しながら、
自分たちのルーツは日本なんだ、と
心底誇りに思っている姿でした。

「ここに本当の日本がある!これが本当の日本だ!」
とわたしは心の中で叫んでいました。

古き良き日本と言ったら良いのでしょうか、
日本以上に日本的だと思いました。

ハワイの日系人社会というのは
日本と米国のはざまにあって
神道・仏教的なものとキリスト教的なものと、
二つの文化が独特に融合している
不思議な感覚がありました。

日本人として自分もこうありたい
こんな家族、ファミリーをつくっていきたい、
その時私は強く思ったのです。

自分のアイデンテティに目覚める
という感じでしょうか。

この体験は、私にとっての原体験となりました。

人生の成功と幸福ということを考えるとき、
ハワイの親族を思い浮かべるのです。

そして、日本だけで通用する人間ではダメだ、
つぶしのきかない人間にはなりたくない、
そんな思いがフツフツと出てきました。

学校という、きわめて閉じた社会の中で生きる人生
それはどうなんだろう?
教員志望で疑うことのなかった心が、
激しく揺らぎました。

本当の自分らしい生き方とは何だろう?
一度しかない人生、自分は何に命をかけるんだろう?
この時代に生きて、私にできることは何だろう?

と、強く思うようになったのでした。

家族、親族の影響はとてつもなく大きいと
あらためて思います。